1章 疲れの原因は食事にあり

 慢性疲労の原因は、食事である。
 運動で疲れているのでもなければ、労働で疲れているのでもない。まして「疲れが取れない体質だから」なんてとんでもない。

 たしかに、運動や労働でも人間は疲労する。しかしこれらの疲労は一晩眠れば回復する。
 それどころか、ちょっと休憩をとっただけで回復する。
 こんな経験はないだろうか。グラウンドを走り回って、クタクタになった。「もう動けない」と休憩を取った。ところが10分後には、またバリバリ走り回ることができた。
 あるいは、仕事でヘトヘトになった。「今日はもう、これ以上の仕事はムリだ!」と休憩室へ行く。仕事仲間とお茶を飲みながら談笑する。そのあとみんなにつられて職場に戻って、仕事を再開したところ、思いのほか能率が上がった。

 人間の体はそのようにできているのだ。ちょっとやそっとの活動でへたばるほど、人間の体はヤワな作りにはなっていない。
 それなのになぜ、多くの現代人が極度の慢性疲労にさらされているのか。

 いくら眠っても疲れが取れない。朝起きて、これから一日が始まるかと思うと気が重い。ここ数年、体が完全にすっきりしたということがない。医者に行っても、とくにおかしいところはないと言われる。

 世は空前の健康ブームで、一億総栄養学士。「レモン○個分のビタミンC」「必須アミノ酸配合」と銘打ったお菓子、清涼飲料水の氾濫。栄養補助食品は子供でさえ服用している。
 それなのに疲れている。疲れ切っている。大人から子供まで「疲れた」が口癖で全国共通語になっている。
 それが間違いない現代日本のすがたなのである。平均寿命世界一の国だと自慢しておれない。そのなかで本当に健康な人は何人いるのか。

 本来は頑丈な人間の肉体が、現代において急速に弱ってきたのだろうか。
 そうではない。人間の体自体は昔から変わっていない。微小には変化しているが、直接身体能力に影響を及ぼすほどの変化は起きていない。疲れてもすぐ回復する機能に変わりはない。
 しかしその機能が、あることが原因で働かなくなったのだ。

 食事である。
 あたりまえのように食べている、現代人の間違いだらけの食生活である。

 食事の質の低下もさることながら、問題なのはむしろ食事の量だ。食べ過ぎほど体をいじめるものはない。
「ああ、たしかに食べ過ぎの人っているよね。私なんかは、1日3食、テレビや雑誌のレシピ通りに食べているから」
 それでは食べ過ぎである。
 現代日本人は、ふつうに食べていたら食べ過ぎなのである。

 なかでも最悪なのが朝食である。
 そのわけは、これから説明する。
 疲労を取り去るポイントは、1日に食べる量をいかに減らすかにかかっている。
 これができるかできないかで、一生を疲労のドレイとして過ごすか、疲れ知らずで過ごすかが決まる。
 逆にこれさえできれば、どんな慢性疲労人間でも疲れ知らずのスーパーマンに変身できる。


朝食を抜く