青汁を飲む
いまの野菜は、かたちは立派だが栄養はない。
たとえばホウレンソウなら、昭和初期の栄養成分表とくらべてみると5分の1程度の栄養しかない。だから野菜を350グラムも食べなくてはいけなくなるのだが、アルカリ性である野菜をそんなに食べたら、こんどは胃を悪くしてしまう。
そこで、青汁が必要になってくる。
青汁にすると、かさがグッと減り、かつ消化吸収が抜群に良くなる。現代人はこうでもしないと野菜の栄養をまともにとれないのだ。
そもそもなぜ、野菜は必要なのか。
理由はさまざまあって枚挙にいとまがないが、ひとつだけ挙げるなら、免疫力を正常に保つために欠かせないからである。
免疫とは、体内の異物をとりのぞいて病気をしりぞけるシステムのことだ。免疫がちゃんと動いていれば、インフルエンザにもかかりにくくなり、ガンになるリスクを下げることもできる。
そのためには、免疫システムをつくっている白血球に、つねに栄養を与える必要がある。
白血球は、バイ菌を食べる。そして白血球は、そのバイ菌を栄養にして、免疫機能をはたらかせている。だから体にバイ菌を入れてやることも少しは必要なのだ。だが、バイ菌を大量に食べる機会など、なかなかない。
そこで、ほかに何か、白血球の栄養になるものはないのか? というと、野菜、海藻、キノコ、果物もよい。特に「野菜」がよいのだ。
ただし、これらに含まれているビタミンやミネラルが、白血球の栄養になるのではない。
白血球は、ビタミンやミネラルを食べない。炭水化物、タンパク質、脂質も食べない。ということは、「栄養素」を食べない。
では、なにを食べるか?
「非栄養素」を食べるのだ。
イソフラボンとか、ポリフェノールといった、よく 「ファイトケミカル」 といわれるものがそれだ。
まちがいやすいのだが、「ファイトケミカル」 はビタミンやミネラルとは違うものである。
ビタミンやミネラル(栄養素)は、人間にとっては栄養だが、白血球はこれらを栄養としない。ファイトケミカル(非栄養素)を栄養にする。ここが全く違う。
そして、そのファイトケミカルは、もっぱら野菜に含まれている。すると、野菜不足の現代人は、当然、ファイトケミカルも足りない。白血球の栄養は、「バイ菌」をのぞけば
「ファイトケミカル」 であるから、白血球は栄養不足をおこしている。
そのために、現代人の免疫機能は、人類史上最低に落ちているのだ。
ちなみに、ファイトケミカルの「ファイト」とは、
「ファイトぉ~!」
「いっぷぁぁぁつッ」
のファイトではなく、植物を意味する phyto のこと。「植物性由来の化学物質」ということでファイトケミカルという。
このファイトケミカル(非栄養素)、何種類くらいあると思われるだろうか。
じつに1万種類以上と推測されているのだ。
推測されている、というのは、まだファイトケミカルについては栄養学の研究がぜんぜん進んでいないからだ。なんといっても「栄養素」ではない。ずっと栄養学から無視されてきたのである。研究がはじまったのは、ごく最近のことなのだ。
だから、ポリフェノールがいいとか、イソフラボンがいいとか、じつは、こっけいな議論なのである。
ファイトケミカルの大部分は、まだはたらきが分かっていないし、そもそも見つかってさえいない。
だが、どうやら白血球の栄養源は、バイ菌と、そしてファイトケミカルだし、そのファイトケミカルは、特に野菜に多く含まれている、ということはわかった。
だから野菜を食べるのだ。
リコピンはガンの予防になるらしいよ、じゃあトマト食べようだとか、ルテインは目にいいそうだ、じゃあホウレンソウをとらなくちゃ、とか、知らないよりは、いいかもしれない。
しかし、そんな、なけなしの知識で個別の野菜をとることに、どれほどの意味があるのか。
栄養学にとっては未知の、けれども人類はずっと昔からとりつづけてきたファイトケミカルが、どっさりとれる。だから野菜を食べるのだし、「青汁は、難病根治、体質改善の秘法」
とまで甲田光雄博士は言ったのである。

5章 1日2食健康法 成功の秘訣
故・甲田光雄先生が監修した渾身の青汁である。
世に青汁製品は無数にあるが、選ぶさいのポイントは、使われている野菜の種類と分量だ。
よくあるのは、ケールならケールだけ、大麦若葉なら大麦若葉だけといった単品の材料で、量も1日ぶんにはほど遠い商品。
それに対してこちらは、甲田先生が長年のあいだ青汁療法を患者にほどこすなかで選ばれた5つの野菜がブレンドされている。
分量も、先生は朝夕1合(180ミリリットル)ずつ飲むよう指導されていたが、水でといたときそのとおりの分量になるようにしてある。
他社製品にくらべて割高に感じるかもしれないが、同じ栄養をとろうとするとこちらのほうが安くつく。
味は、わたしはこのままでいいと思うが、はじめ抵抗があればハチミツかりんごジュースを加えればいい。慣れると、もとの味の良さがじわじわ分かってくるはず。